スタッフダイアリー

さくら

さくら

その薄くやさしいピンク色をじっと見ていると

忙しない都会の日常で疲れた脳をゆっくりと麻痺させて

肩の力をすっと開放してくれます。



毎年この時期になると公園には食べ物とお酒を持ち寄り

多くの人が花見に訪れます。

桜の下ではお酒が入って楽しそうに歌う人

カセットコンロを囲んで鍋をやる人

まだ気温も低いこの季節にカラダがちぢこまる人

みんな楽しそうで横を通る自分まで楽しくなりました。

と、言いたいところですが。

悲しいことに、そういった楽しいことばかりでもありません。

花見のこの時期、公園には巨大なゴミ箱が設置されているにもかかわらず

一部の心貧しいかた達がゴミをそのまま放置していくのです。



ゴミ箱が満杯だからなのか?

少なくともゴミ箱の脇にまとめて置いてくことはできるだろ!

この国にサムライはいなくなってしまったのか。と意味不明なことを思いつつ。

冷静にゴミの分布を観察してみると

一番多い一点を中心に放射線状にゴミの量が減少していくんですね。

要は、まわりにゴミが多ければ、ゴミを捨てる人も多い。

でも、まわりにゴミが少なければ捨てるひとも少ない。

良くも悪くも日本人の右習えの特性なのか。

見てみぬふりは良くやりますが

今回はなぜだかゴミを拾ってみました。


会社から帰ってきて、腹ごしらえ。

腹が減っては戦はできぬ。

おおきなゴミ袋と、腰には刀の代わりにゴミばさみをさして。

いざ出陣!

平日の夜10時を回っているのに、まだまだ人がたくさんいるのです。

私は一心不乱に桜の木の下に溜まったタバコの吸い殻を拾う

ビールの空き缶を拾う

誰かの忘れていった靴下を拾う

時には茂みに入り、時にはカップルの座るベンチのまわりをぐるぐる徘徊し

終いには、コーヒーの紙コップを「あっ、ゴミお願いしまーす」と渡され

思わず「あっ、ありがとうございます。」とわけのわからない返事をしながら

自分のアホさ加減に腹を立て、時間と体力のゆるす限りゴミを拾ったのでした。



きれいになった。

花は咲かせることはできないが、ゴミならひろえる。

ゴミをひろえば、花がきれいに見える。

特に説明はいらないでしょう。

きれいになっただけだから。


後日、まるで何事もなかったように汚くなっている公園へ。

夜桜を撮るのに、三脚を準備して橋の上から一枚パシャリ。




週末はお隣の県へ足をのばして

江戸時代に栄えた講中宿の集落へ。

こんな山奥でこんな素敵な桜に出会えました。

桜伝手のご褒美かな。。