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電子書籍コミックの出版記念イベントを開催しました

デジタル出版事業部の坂井です。10月に配信を開始した電子コミック作品の発売記念イベントを11月29日に開催したので、その模様をご報告させていただきます。



このたび配信を開始したのは「江戸川ハートブレイカーズ」(須田信太郎・著)全2巻。不器用な生き方で世の中とうまく折り合えない男たちの生きざまを痛々しく描いた作品で、読んだ人の心に確実に傷跡を残す隠れた名作です。

前職で須田先生とお仕事でご一緒させていただいた縁から、20年以上前のこの名作を電子書籍として配信することができました。せっかくなので、須田先生とこの作品に影響を受けた人たちで、何かイベントはできないだろうか? という話が盛り上がり、渋谷のバーを借りてリリースパーティーを行なうことになりました。

マンガや書籍の発売に合わせてトークショーやサイン会を行なうのが一般的ですが、この日はバンド演奏、紙芝居、ラップ、もちろん須田先生のトークショーと盛り沢山の内容で、まさにリリースパーティー。ちょっとしたフェス状態でした。



マスクマンに扮した紙芝居師ヤムちゃんさんは、須田先生の描いた紙芝居を使ってパフォーマンスを繰り広げてくれました。須田先生の作品がMVに登場するバンドMANGADORONは熱い演奏で盛り上げてくれました。兄弟デュオ、山口兄弟は「マンガ」をテーマにしたラップを披露。須田先生を中心に、さまざまな才能が交錯する不思議な空間となりました。

さらに「江戸川ハートブレイカーズ」配信時に推薦コメントを寄せてくださったマンガ家の室井大資先生、ヴィレッジヴァンガードのバイヤー・金田謙太郎さんもトークショーで参加。作品が世に出てから20年間胸に抱き続けた熱い想いを須田先生にぶつけて大いに盛り上がりました。



電子書籍のプロモーションというと値引きだポイントだと即効性のあるものばかりですが、この日のイベントはそれとはいちばん遠いところにあるかもしれません。須田先生の作品に感銘を受けた人たちが、それぞれの気持ちと才能と時間を持ち寄って語り合う一夜限りのお祭りでした。

須田先生の作品は何百万部も売れる派手な作品ではないし、万人受けする要素は少ないかもしれません。ただ、このイベントにも、7年前、20歳の時に古本屋でたまたま見つけた須田作品を読んでやられてしまった若い子が、目を輝かせてコミックを持ってきてくれました。届くべき人に作品が届き、こういう機会に会いに来てくれた。これでよかったんだと思います。



電子書籍というこれから発展していく分野で、果たして何が有効なのか? 常に考えながら、作品に適したプロモーションを仕掛けていきたいと思います。