スタッフダイアリー

写真家・宮澤正明さんが撮った伊勢神宮の映画

デジタル出版事業部の坂井です。

今回は我々の部署・デジタル出版事業部とお付き合いの深い、写真家・宮澤正明さんが初めて監督を務めた映画「うみやまあひだ~伊勢神宮の森から響くメッセージ~」を観に行ったので、そこのとについて書きたいと思います。



宮澤さんのオフィシャルサイトをエムアップで制作させていただいているご縁があり、以前からお付き合いをさせていただいています。宮澤さんといえば、1990年代に撮られた数々のグラビア写真集などの強烈なインパクトから女性のグラビアを得意とする印象がありますが、そもそも得意とする分野は風景で、デビューしたての頃は自然の景色ばかり撮っていたそうです。その美しい作品の数々は、宮澤さんのオフィシャルサイトで多数公開されています。

ちなみに、女性を撮るようにアドバイスしたのがじつは作家の伊集院静先生だったというのは、あまり知られていないかもしれません。ということは、我々の部署で運営しているグラビア配信サイト「image.tv」は、伊集院先生の助言がなければ生まれていなかったかもしれないということでしょう。

その伊集院先生にエムアップを引き合わせてくださったのが宮澤さんで、そこから「なぎさホテル」という電子書籍作品が生まれました。人の縁とはじつに不思議なものです。

そんな宮澤さんは伊勢神宮が20年に一度、お宮を建て替えるお祭り「式年遷宮」の奉納写真家として、約10年間にわたって伊勢神宮を撮り続け、いままで6万点もの作品を奉納してきたそうです。

その膨大なアーカイブの一部で構成された「伊勢神話~写真家・宮澤正明が観た伊勢神宮~」(特設サイト)も、じつはエムアップがサイト制作のお手伝いをさせていただきました。

息を呑むような美しさで神秘的な瞬間を切り取った宮澤さんの写真は高い評価を受け、日本各地で写真展が開催され、写真集も出版されて大きな反響を呼びました。それが本作品「うみやまあひだ」のプロデューサーの目に留まり「ドキュメンタリー映画を撮りませんか?」というオファーにつながったそうです。

私は、映画「うみやまあひだ~伊勢神宮の森から響くメッセージ~」を東京での公開初日に観に行ってきました。場所は二子玉川に新たにオープンする映画館「109シネマズ二子玉川」。記念すべきオープニング上映作品として公開されていました。

映画はじつに興味深い内容で、深い感銘を受けました。

古代から日本人の心の拠り所となっている伊勢神宮を出発点に、宮澤さんが写真家の視点から森と川と海の関係性にスポットを当てたドキュメンタリー作品でした。建築家・隈研吾、映画監督・北野武といった日本を代表するクリエイターの言葉を紡ぎながら、美しい写真と映像と音楽が日本の自然の美しさを描き出していきます。


撮影:宮澤正明写真事務所

この作品で何度も語られるのは、なぜ伊勢神宮を訪れると心穏やかになれるのか? ということ。そして、いままで日本人が自然とどう向き合ってきたのかを紐解く旅が始まります。伊勢、木曽、気仙沼、白神山地とまるでロードムービーのように舞台を移しながら、科学と宗教の両面からのアプローチで好奇心が揺さぶられます。


撮影:宮澤正明写真事務所

上映後に行われた伊勢神宮神職・河合真如さんとのトークショーもじつに興味深いお話ばかりでした。その中で宮澤さんは「本作には、あえてナレーションは被せなかった」とおっしゃっていました。この作品で言いたいことは登場する十二人の賢者と、写真と映像と音楽が雄弁に語っているから。一から十までをすべて言葉で説明するような無粋なことはせず、目と耳で感じる静謐な作品であり、写真家らしい作品、宮澤さんらしい作品だと感じました。

ここ数年間、伊勢神宮を訪れる人は増え続け、式年遷宮が行われた2013年には参拝者が初めて1000万人を突破しました。多くの人が癒やしと心の拠り所を求めて伊勢神宮を参拝しています。これからもますます注目を集めることでしょう。

そしていま、この作品はすごい勢いで世界へと羽ばたいています。米国イェール大学環境映画祭に公式招待されたのを皮切りに、サンフランシスコグリーン映画祭に招待されることも正式に決定しました。この輪が世界のどこまで広がっていくのか、興味深く見ていきたいと思います。



映画「うみやまあひだ~伊勢神宮の森から響くメッセージ~」は、4月30日まで109シネマズ二子玉川で上映中です。是非、この機会をお見逃しなく。宮澤さんも毎日のようにトークショーで登場されます。詳しくは作品のホームページをご覧ください。